§エピローグ 1§

 

 

「え?プロポーズだったの??」

 

レオナの大声が城に響き渡る。

 

「しぃーっ!!声が大きいわよ!」

 

きょろきょろと辺りを伺うけれど、話を聞いていた人はいなかったみたい。

 

「何なのよ〜
 こないだまで『浮気してるかも〜』とか言っておいて

 今日はそんなルンルンな顔で婚約報告?

 まぁ、振られバナシよりかは全然マシだけど。
 心配して損したわ。あ〜あ。ばっかみたい」

 

憎まれ口を叩きながらも、その顔は満面の笑みで。
心から祝福してくれているのが解る。

 

「それで?それで?プロポーズの言葉は?」

「それは私だけの大事な言葉だから教えてあげない」

「何?惚気すぎ〜!!」

 

うりうり、とレオナに肘で叩かれながら。
私はそれでも口を決して割るまいと耐える。

 

 

アレは私の宝物。

 

『一緒に生きてくれるか?』

 

貴方が『生きる』ことを前提に申し込んでくれたことが嬉しくて。
貴方が共にいることを望んでくれたのが嬉しくて。

 

私は込み上げてくる笑みを噛み殺す。

 

 

大丈夫。

二人だったら、きっと。

何があっても、乗り越えていけるわ。

 

それは確信。

 

だって、貴方が必要としてくれているのだもの。

 

 

私はレオナをかわしながら、迫る未来に満面の笑みを。

 

 


 

§エピローグ 2§

 

 

ヒュンケルはぐったりとラーハルトに凭れかかっている。
それを心底鬱陶しそうに振り払って、一瞥。

 

「お前、なんでまだ来るの?」

 

用件は片付いただろうよ?と。
折角解放されると思ったのに。

 

「…いや…
 いざ覚悟が決まって、結婚ってなったら…

 

 障害が何もなくなって、手を出しそうになる…」

 

 

「知るか!!!!!てか、出してもいいだろ?!!」

 

 

「いいわけないだろう?!」

 

 

ああ、まだこいつの面倒みなきゃなんねぇのか…

 

ラーハルトは盛大に溜息を落として。
脱力する身体をなんとか支えた。

 

 

眠れない夜はまだ続くらしい…






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ゆり様、リクエストありがとうございました★
楽しかったです〜





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