(三)

  

「兄ちゃん。何も言わずに俺を思いっきりぶん殴ってくれ!」

「うわ。怖」

 

ノックもなく、いきなりドアを開け放って現れた闖入者は、正直ドン引き確実な言葉を半ば叫ぶようにして入ってきた。

寝る前に用意したホットミルクを飲む幼い主が、それを噴出さなかったのは奇跡に近い。

もし、噴出していたら、望み通りぶん殴っていただろう。

 

とりあえず、主を守れるようにヒュンと主との中間地点に身体を割り込ませて、観察する。

一言で言えば、焦燥している。

まぁ正常な状態でいきなり『殴ってくれ』は正直、御免被りたい。

気持ち悪すぎる。

 

「夜分にやってきて、いきなりソレ?気持ち悪すぎるんですけど」

 

とりあえず、突っ込むことにした。

 

「何も聞くな」

「いや、聞くなも何も…聞いてないんだけど…知りたくもないし」

 

言えば、瞬間絶句された。

そしてもごもごと口の中で「いや、とりあえず親友が夜遅くに『殴ってくれ』てやってきたら、一応少しくらい知りたいと思ってくれよ…」と呟いたのは聞かないことにする。

聞くな、と言ったり、知りたいと思って欲しいと言ってみたり。面倒くさいんだよ、お前は。

てか、誰が親友なんだ?全く。

 

深い呼吸を一回。

そしてヒュンケルは消え入りそうな声で

 

「このままだと俺はダメになる…」と嘯いた。

 

「ダメになるって…お前充分もう既に、ダメになってるから」

ここはちゃんと突っ込んでおかねばなるまい。

俺から言わせれば、この男はとうに終わっているのだが。

自覚がないというのは、甚だ厄介なものだ。たちが悪い。

 

しかしヒュンケルは、俺の言葉に反論する気力もないのか項垂れて。

そのままフラフラと、いつもの自分の定位置の椅子まで進んでぐったりと腰掛けた。

そして机に突っ伏してしまう。

女子供ならばまだ可愛げのあるポーズかもしれないが、こんな図体のでかい男がやっても邪魔なだけだ。

 

とりあえず、隙だらけの後頭部を軽く叩いて「邪魔」と意思を伝えるが。

ヒュンは一向に動く気配はない。

 

「で…結局またいつものなんだろう?いい加減にしてくれよ。

 てか、俺じゃなくて他にもオリハルコン馬鹿とか、ワニとか、いるだろう??なんで此処に来る?」

 

「ヒュンケルはラーハルトのことが好きなんだよ」

 

主の言葉に。焦燥中のヒュンに負けず劣らず、げっそりする。

しかし言った本人には悪気はないので、主はにこにこと笑顔で。

毒気を抜かれそうになりながら、俺は嘆息混じりに「嬉しくないです…」と零した。

 

「そっか…残念だったね、ヒュンケル」

「…そうだな…」

 

微かに顔をあげて、笑う顔が憎らしくて。俺は先程よりも強くその後頭部を叩く。

 

 

 

「愛してるよ、兄ちゃん」

「今この場で死んでくれれば俺も愛してやるよ、糞餓鬼」

 

付きあってられるか。

 

 

§§§§§§§§§§§§§§§§

 

 

「はぁ?お前、それで逃げてきたの?」

 

主が『オヤスミ』と自室に戻ったのを見計らって、ポツリポツリと話された内容に正直。

開いた口が塞がらないとはまさにこのことか。

その場で逃げ出したいのは女の方だろう。

フォローも何もせず、放っておいて逃げ出すって。

 

あり得ねぇ…

 

俺の心情を余所にヒュンは勝手に棚からブランデーを取って、グラスに注ぐ。

自棄酒でも飲みたいのかもしれないが、するなら自分の酒、自分の金で、独りでバーでもなんでも行って飲んで欲しい。

律義に俺の分まで作ってくれているようだが、正直自分で作った方が旨いことが解っている。有難迷惑だけれども、出された水割りを断る理由もなくて。

受け取って、マドラーを取るのも面倒なので指で軽くかき混ぜた。

 

口を付ければ、自分が作ったモノに比べてかなり濃い水割りが喉を焼く。

 

「兄ちゃん…俺を殴って欲しい」

「いや、それ殴るの俺じゃなくてピンクの役割だから。絶対」

 

パタパタと手を振れば、氷を連想させる色素の薄い青の瞳できつく睨まれた。

 

いや、睨まれる立場なん?俺…

 

誰か第三者に問いかけたい気持ちになる。

なんでこの男はこんなにも面倒臭いのだろう?

 

「彼女に会わせる顔がない…」

 

出たよ、へたれのネガティブぶりっこ。

内心で突っ込んで、とりあえずとっとと追い返す方法を考える。

会わせる顔がないなら逃げ続けて、金輪際会わなきゃいいじゃねぇか、と言えばきっと『それは出来ない』とか『彼女を失うのは耐えられない』とかほざくのだ。

なら覚悟を決めて、それこそぶん殴られるのも覚悟で謝ってこい、と言えば『彼女を傷つけたのに、どの面を下げて謝りに行ける?』とか言うのだ。絶対。

どの面も、この面も、てめぇの顔はひとつしかないんだから、その面下げるしかねぇだろうが。

それに俺から言わせれば、結婚決まってる男女がいて、男が女に手を出そうとすることがそんなに相手を傷つける行為になるのか、全く理解出来ない。

少なくとも、それで傷付くなら、それは結婚後だろうがなんだろうが傷付くし、その理論でいけば『彼女を傷つけない』『傷つけたくない』とか言う、こいつの理想(そう、全くの理想!夢物語も甚だしい!!)は実現不可能な、全く破綻した話になる。

そもそも真剣に男女が付き合って、傷つけたくないとか言ってる段階で本気で向かい合ってるとは思えない。

他人同士が本気で向かいあって、解り合おうとするのなら、傷付くことくらいあって然るべきなのだ。

そんなことに怯え、避けよう、避けようとすれば、結果として関係は破綻する。

 

そんなこと。

少し考えれば、馬鹿でも解るだろうに。

 

頭の中で一通り何パターンかシミュレーションして、俺は息をひとつ吐いた。

 

「お前が言うだろう台詞15パターンと、零すだろう愚痴、4パターン。

 言い訳する台詞8パターンと、うだうだ回りくどく逃げる口上3パターンを想定したから、これ以上お前の話を聞く意味はない。

きっとお前が俺の想定した事象以外の行動を取るとは思えないし。

 だから、もう、お前帰ってピンクに土下座でもして謝っておいで。

 まぁ、怒ってたらの話だけど」

 

想像するに、あの女はきっと驚いただけなのだ、と思う。

確かに力づくで抑え込まれたショックはあるだろうけども、それが致命的になるほどのショックを与えているとは思えない。

まぁ、もしそんなショックを受けていたとして、それこそ日頃『彼女が無防備で困る』とかのたまっていたのだから、警戒してくれて助かる、というものではないか。

年頃の娘なのだから、多少男は怖くて危険だ、と思っている方が安全と言える。

 

「だがっ…」

「『だが』も糞もないの。

 カッコつけてる暇があるなら、泣き落してでも許してもらえ。

 本当に大事で、失いたくないのなら、こんな所でうだうだやってる場合じゃないんじゃねぇの?」

 

まだ何か言おうとするように、ヒュンは口を何度かぱくぱくと動かすけれど。

最終的に何も吐き出すことなく、黙って項垂れた。

それでも腹の中ではきっと、諦めの悪い性根が下手な言い訳を繰り返しているのだろうけど。

それを俺に言っても無駄だということは学習しつつあるらしい。

喜ばしいことだ。本当に。

 

とどめを刺す為に、ヒュンの手の中から酒のグラスを奪い取って。

「さぁ、行ってらっしゃい」と有無を言わさず満面の笑顔をひとつ。

 

ぐ、とヒュンは一瞬言葉を呑み込んで。

数秒逡巡してから、大仰に溜息をついて。

それでも諦め悪く、なにかを口の中でぼやきながら。

渋々と言った具合に腰を浮かす。

 

ああ、もう面倒くさいし、鬱陶しい。

 

急きたてる様に玄関のドアを開けて、「とっとと行け」と言うと、弟弟子たちや女どもには決して見せない拗ねたような顔をして、視線を反らせた。

 

何処の糞餓鬼なんだ、お前は。

 

 

§§§§§§§§§§§§§§§§

 

 

玄関の扉を施錠して、一息つくと背後に気配。

振り返るまでもなく、今家にいるのは俺と主しかいないので、それが少年だと言うことは容易に予想出来た。

 

「お疲れ様、ラーハルト」

「眠りに行ったんじゃなかったんですか?」

「うん…だけどちょっと心配で」

 

振り返れば案の定少年が、少し困ったような、それでいて照れたような笑顔を浮かべていた。

 

「ヒュンケルはきっと背中を押して欲しいんだね」

「いい歳して他人に背中を押されないと動けないなんて、それはただの甘えですよ」

「ラーハルトはヒュンケルに冷たいよね」

「普通です」

 

男を甘やかす趣味はない。

 

「けど、ヒュンケルの背中は俺やポップじゃ押せないんだよ。だから、ラーハルトがヒュンケルの力になってくれるのは嬉しい」

 

何処までも。

何処までも素直に屈託なく言う少年の言葉に。

これが主でなかったら失笑どころか、多分罵倒しているかもしれないが。

とりあえず、曖昧に笑みを返すしか出来ない。

 

「…正直…あまりに面倒くさくて御免被りたいです…」

「あはは」

 

御免被りたいが、こんな風に少年が喜ぶのならば良いのかもしれない。

……多分。

そうでないとやってられないので、そう思うことにしよう。

 

「さぁ…ディーノ様。もう遅いのでお休みになられたらいかがですか?」

 

俺の言葉に従うように、大きな欠伸をひとつ零して。

「うん、そうするよ。オヤスミ」と。

 

 

「良い夢を」

 

 

自室に引き上げる背中にひとつ。

祈りとも、願いともつかない言葉を落として。

 

俺は目の前の長い夜の過ごし方に思考を馳せた。

 

 

§§§§§§§§§§§§§§§§

 

 

追い出されるようにラーハルトの家から帰らされて、俺はそれでもまだ覚悟を決められず、森の中をぐるぐると散歩していた。

何を見るでもなく、進む自分の足先をじっと眺めて。

交互に出される左右の足を、まるで他人のもののように見ていた。

 

そんなことをしていても、何も進展などしないし何の解決もしないのに。

 

ラーハルトの言っていることは、ドレも至極真っ当で(そこがまた腹ただしくもあるのだけれど)そんな正極を得た言葉に言い訳を繰り返す自分にも辟易してしまう。

今現在、傷付いたのは彼女であって俺じゃあない。

 

全て。解っているのだ。

 

しかし、それでもなかなか決意は付かず。

それから暫く、俺は何処に行くわけでもなくうろうろと森の中を彷徨い続けた。

 

 

 §§§§§§§§§§§§§§§§

 

 

結局決意がついたのは、小一時間も過ぎた後で。

まるで決戦に臨むような心持で、俺はキメラの翼を天空に放り投げた。

 

それでも実際、明かりの点いた自宅を目にした瞬間に決意は揺らぎかけたけれど。

しかし逡巡させる暇もなく、キメラの翼の気配を察したのか勢いよく扉が開いて彼女が外に飛び出してきたから俺は自分でも驚くほどに焦ってしまい。

わたわたと、逃げるわけにもいかず、それでいて駆け寄ることも出来ず。

結局立ち尽くすまま。

 

部屋の明かりが逆光になって彼女の表情は読めないが。

こっちに気付いて駆け寄ってくるのを、俺は茫然と。

 

やっと表情が解るくらいの位置になり。

最後に見た時同様に涙で潤むその瞳に魅入られて。

言葉を探すも見つからず。

結局、何も言えないまま。

 

 

 

目の前に駆け寄ってきた彼女が。

 

 

「馬鹿っ!」と。

 

 

そして「心配したんだから!何処行ってたの?」と矢継ぎ早に言葉を投げかけてくるのを。

何処か、まるで他人事のように眺めて。

 

そんなぼんやりした態度に痺れを切らした彼女が、両手を伸ばして俺の頬を挟みこむ。

 

「聞いてるの?」

「…聞いてる…」

 

彼女の体温が、じんわりと。

俺の顔に触れるその両手に上からそっと触れて、その温もりを一層感じれる様に瞳を閉じる。

しかし、彼女はそれに浸らしてくれなかった。

パン、と音がなる程に、再び強く頬の上に両手を乗せて。

 

「聞いてないでしょう!」と。

 

それはまるで、いつもポップや他の人間にするかのような仕種で。

俺はつい、苦笑を浮かべてしまう。

 

「何笑ってるの?」

「いや…済まない…どう謝罪していいか解らなくて森を彷徨ってた」

 

正直に応えたが、納得はしないようで。

「謝罪の仕方は『ごめんなさい』よ!子供でも知ってるわ!」と。

それはそうだ。

 

「どうせまたラーハルトのところにでも行ってたんでしょ?」と、いくら睨んでも愛らしくしかならない顔で。

「そこにも行ったが、すぐに追い出された」

 

認めると、やっとその双眸に少しだけ笑みを浮かべて。「当然よ」と。

 

同時に力の緩んだ彼女の手に触れて、俺の顔から退けさせる。

そしてそのままその手を大事に握って、その指先にそっとキスをする。

 

家から飛び出して来た時には潤んでいた瞳は、大分乾いてきて。

いつもの穏やかで、優しい色がその瞳に宿りつつある。

それが何より増して愛しくて。

 

「済まなかった」と、謝罪の言葉が自然に零れ落ちた。

 

マアムは悪戯を思い付いたような笑みを浮かべて、「それは急に飛び出したことについて?」となかなか答えに困る質問を投げかける。

 

「お前を傷つけるつもりはなかったし、怖がらせるつもりもなかったんだ…

 だが…自分が抑えられなかった…

 それに勿論、急に飛び出して心配をかけたことに対しても反省してる」

 

「急に飛び出して心配をかけたことは、ちゃんと反省してもらわなきゃ困るけど…」

 

やっと、いつもの彼女らしい笑顔が浮かんだ。

そしてお返し、というように、彼女の手を掴んだままの俺の手を引きよせて、そこに唇を寄せる。

 

「貴方は私を怖がらせたり、傷つけたりはしてないわ。

 ちょっと驚いたけど…

 ちゃんと止まってくれたでしょう?」

 

あれをちゃんと止まった、というのかは怪しいところではあるけれど…

 

その後ろめたさが微妙に視線を反らさせるが。

 

「急に飛び出される方が傷付くわ」と言われれば、空を仰ぐしかない。

 

 

天空には月が相も変わらずぽっかりと。

なんの悩みもなく静謐な光を投げかけてくれている。

 

 

 

 

彼女に手を引かれるまま、家に戻り。

彼女の淹れてくれた珈琲を飲んで、俺達は空が白み始めるまで話をした。

 

 

 

 

日夜、気を付けているし、そうしようと努めているけれど、どうしようもなく彼女に惹かれてしまうことがあるということ。

結婚するまで、そういった事態を避けたいと願っていること。

彼女があまりに無防備に過ぎること。

彼女は自分のことを安全で無害だと思ってくれているが、実際はそんな人畜無害なものではないということ。

 

そうゆう話をすれば、彼女は俺に

 

あまりに過保護に過ぎること。

心配しすぎなこと。

自分はガラス細工ではないだから、生身の人間であるのだからそんな簡単に壊れたりしないということ。

そして、隙がなさすぎること(これに関してはよく解らない)などを話した。

 

 

小さな決まり事や、約束を。

そんな些細なことを話しあって。

 

そしてそんな他愛もないことの先に、ずっと続く未来を感じて。

 

 

 

「もう、急に飛び出したりしないでね」

「…出来る限り…」

 

時に、我慢出来なくなれば頭を冷やす意味も込めて逃げ出さなければならないこともあるだろうけれど。

 

俺は苦笑しながら、柔らかい彼女の髪を撫でた。

 

 

§§§§§§§§§§§§§§§§

 

 

「ああ、そう。まぁ当然だけど解決したわけね」

 

兄ちゃんに手土産を渡したところで、機嫌が直るはずもないのでダイにロールケーキを用意した。

喜ぶダイを見れば、兄ちゃんも不機嫌な顔をしてはられない。…ハズ。

 

箱を覗きこんで「美味しそうだね」と笑顔を見せるダイに、にっこりと笑って見せてから振り返った兄の顔は不機嫌なままだった。

 

考えは甘かったかもしれない。

 

「度々迷惑かけます…」

だからとりあえず、素直に頭を下げておく。

 

「俺が望む言葉は『金輪際、迷惑かけません』だ。馬鹿が」

 

それは…

多分…

無理……

 

内心を察したのか、険悪な双眸に更に凶悪な色を映して睨んでから、ラーハルトは二重人格のようにダイにもう一度笑顔を見せて「切り分けましょうか」と。

 

「でも良かったね、マアムと仲直り出来て」

「仲直りも何も、こじれてませんよ、ディーノ様」

「え?そうなの?じゃあなんであんなに落ち込んでたの?」

「ネガティブスパイラル、自己陶酔型周囲巻き込み迷惑体質の所為です」

「そっか」

 

納得したのか???

突っ込もうとした矢先に、目の前にロールケーキを渡されて言葉を飲み込む。

 

「で?まぁ、降ってもいない雨で地面は固まったわけ?」

 

言われれば確かに降ってもいない雨なのかもしれないが。

ちょっとは色々、言い方ってあると思うのだが。

 

「ピンクは多少警戒してくれるようになった?」

 

少しは悩みが減ったのか?と、こっちを心配して聞いてくれているのだと思うことにしよう。

実際は自分に降りかかる火の粉を追い払おうとしているだけだったとしても。

応えようとする前に、ダイが疑問を挟む。

 

「マアムはヒュンケルに警戒しなきゃならないの?」

「多少警戒して距離を取ってくれないと、ヒュンが無理矢理交尾を迫ってしまいそうになるんですよ」

「っ兄ちゃん????!!!!」

「んん?マアムと結婚するんなら、別に悪くないと思うんだけど」

「人間のしきたりの中に、きちんとつがいを作ってからじゃないと交尾をしてはならない、というのがあるんですよ。

 で、きちんとつがいを作るというのが『結婚』という制度なんです」

「ふうん」

「待て待て待て待て、糞兄貴。お前はダイに何を教えている??」

「何って…普通のこと…」

「普通のこと??普通のことか?これが」

「ディーノ様が解りやすい言葉で説明すれば『交尾』だろうが。間違ってるか?」

「違う!そうゆうことじゃない!!!」

 

絶叫に近い異議を無視して。

二人の竜の子供は、似たように小首を傾げて。

きょとんとした顔でこっちを一瞥してから、さも何事もなかったようにロールケーキを食べ始めた。

 

 

ラーハルトとダイが一緒に暮らし始めてもう随分と経つ。

俺の知らないところで、ダイが兄ちゃんに汚染されてる危険をひしと感じながら。

これは近いうちにポップとでも会議を開かねばならない、と。

 

俺は新たに生まれた悩みに頭を抱えた。

 

 

 

背景素材提供 NEO HIMEISM 様



special thank's 4000 hit!!
リクエストとして、1111hit記念作品後日談、とのことだったのですが…
気に入っていただけると幸いです★
ゆり様、リクありがとうございました~~~❤