[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
迷い≠暗示 |
緑の瞳。 綺麗な生物。 本当に綺麗な生物。 決して女のようではないのに。その姿形は男のソレでしかないのに。 人間では纏えない特有の… これは美しい生物。 これは美しい獣。 「…で?」 耳を打つ低音。 「…別に」 触れたままの指が、不自然に硬直してしまう。 にやにや、と。 にやにや、と。 「…何よ?」 「…欲求不満なら遊んでやるけど?」 離そうとした手を掴まれて、ペロリ、と舐められる。 「………ふざけないで」 言葉は恥ずかしくなるほど掠れていたけれど。ソレでも。 顔が赤くなってるのもわかる。耳が熱い。 囚われるのは。 それだけは。 だってこの男は。 『たちが悪い』 冷静な自分が頭の中で叫んでる。 わかってる。 わかってる。 私は次の恋こそ幸せになるんだから。 こんな奴に惹かれたりしない。 絶対に。 絶対に。 「あんたなんか大嫌いよ」 「それはそれは」 本当に何処までも嫌味に、何処までも余裕に。 にっこりと笑われて。 駄目だと思ってても、胸がドキリ、と。大きく一回。 大嫌い。 大嫌い。 何度も何度も呟いた。 扉を後ろ手に閉めて、足早に部屋を後にして。 何度も。何度も。 言い聞かせるように。 大嫌い。 言い続けないと。 |
背景素材提供 flower&clover様