0無駄かもしれないけれど あの時、私がもっと早く走ることが出来たら。 そしたら。ここまで酷いことにはならなかったのかな? お兄ちゃんが死んでしまって。 私はなんとか元気なふりをしながら自分を誤魔化して。なんとか日常を送ってる。 あの時、私に出来ることはあったのかな? きっと何をしても無駄だったのかもしれない。 あの状況で何をしたところで、運命は変えれなかったのかもしれない。 あれだけの勢いで燃えていたのだから。 そこにどんな人力がかかっても、それは立石に水のような結果にしかならなかったのかもしれない。 そう考えて諦めてしまえば楽になれることは事実だけど。 そう考えて諦めたところで、恭介は帰ってこないし お兄ちゃんが…生き返るわけでもない。 そんな中、瓦礫の下からお兄ちゃんの遺体は見つからなかったという連絡がきた。 そこからは誰の遺体も見つからなかったと。 それは。 あの現場に居合わせたのなら、冗談にしかならないことだったけど。 それでも私は。 お兄ちゃんが生きているのではないか、と。 思わずにはいられなくて。 もしそうだったら。 きっと恭介も帰ってくるし。 伐だって、元の伐に戻ってくれる。 きっと、何もかも元通りに。 それがどれだけ。 現実的でない想像なのかわかってるけど。 それでも現実に遺体が発見されてないなら。それなら。 最後の最後まで。 私は信じてみたい。 それは信じたところで、どう変えることも出来ないことなのかもしれないけど。 それでも。 ねぇ、恭介。 ねぇ、伐。 私達、今までずっとずっとそうだったじゃない。
お兄ちゃんだって…帰ってくるから。 だから。 だから。 それがどれだけ無駄だと言われようとも。 …………………私は信じてる。
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