まどろみの午後 | |
先に眠って良い、と言っているのに、息子は必ず起きて(?)待っている。 昨晩も、帰りは明け方近くだった。 「ラー、寝てても構わないぞ」 見兼ねて告げても、曖昧に笑って「大丈夫ですよ」と返す。 明らかに大丈夫ではないのだが。 苦笑する。 たまにしか、こんな風に昼日中一緒に居てやれないからか、必死に眠るまい、としている姿はいじらしくて。 「ラー…」 何度目かのまどろみに声をかけると、びくり、と体が震えて。 「一緒に昼寝をしようか」 だから私はひとつ提案を。 ラーは一瞬、眠さを忘れたようにキョトンとして。小首を可愛らしく傾げてみせる。 小さな体はすっぽりと腕の中に納まってしまう。 か弱く、幼気な、私の大事な掛け替えのない息子。 腕枕してやると嬉しそうに。留守中のことを話しているが、眠たいので話の内容は支離滅裂。 しかしとうとう。 かくり、と。 安心しきった、その穏やかな寝顔につい頬が緩む。 額にキスをして、その穏やかさに釣られて欠伸をひとつ。 「おやすみ、ラー…」 起こさないように。 そして、良い夢が見られるように。 この場所が、この子にとって安心出来る場所であるように。 この宝物を失わないように。 私は祈れる全てを込めて、呟いた。 |
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